今年のサイクルショーのポスターはおおむね好評だ。
デザインはとにかくシンプルで、素っ気なくなる分まっくろけにしてインパクトを出した。

この黒は、黒インクだけでなくマゼンタ(赤)とイエローを50%ずつ混ぜている。黒インクだけだと薄っぺらい黒になってしまうのだが、それに他の色を混ぜることによって深くてつやのある色調に出来る。印刷用語でリッチブラックっていう。
ところがベタ(インク量100%)だったら簡単なんだけど、グラデーションがあると面倒くさい。リッチブラックをグラデーションにすると、どうしても乗せた色が出てきてしまい、思ったような色がでないのだ。グレイの中間色を出そうとしても、茶色のグラデーションになってしまったりする。じゃあ、とシアン(青)を乗せれば、今度は寒すぎる。第一どんなに画面で調整しても、モニタの色と印刷機の色の差は埋められないのだ。
本来ならば正確な色を再現できるようセットアップされた環境を整備するのは出版業では当たり前なんだけど、ウチは零細企業だからそんなものナイ。随分機材も安くなったけど、それでもソフトと計測機器と専用モニタを揃えるとG5(最新のMACです)が何台か買えちゃうくらいの値段になる。未だにG4の400MHzとか現役だし、だったらG5買うよなあ。オレは1GHzのデュアルだからまだ良い方。
だから印刷屋さんから色校正(簡易試し刷り)を出して貰って色の具合を見るんだけど、これが又微妙に本刷りと色が違うのだ。しかも印刷屋さんによっても色の癖が違う。だから実際はエラーや文字化け、誤字脱字などを見る以外は役に立たないと思った方が良い。ちゃんとしたところは本番用の機械で本番と同じようにテストプリントするんだけど、巨大な輪転機を占有して回すだけでコストがかかってしまうから、よっぽど大手じゃないとやらない。
つまりはぶっつけ本番なのだ!数百部刷るくらいなら良いけど、数千部数万部刷る原稿をぶっつけ本番ってのはけっこうドキドキだ。今まで何度、刷り上がって来た現物を見て愕然としたことか!取り返しが付かないってのは心臓に悪い。
幸いなことに今回は海外で中国語や英語のポスターを少ロット印刷するので、それが練習になって助かった。自分がモニタ上でちまちま作った物が、どでーんと大きく印刷されて貼り回されると、さすがにキモチいい。
しかし、美的センスと金銭感覚が0対100くらいなウチの社長が、機嫌良く「オレが作らせた」って来客に自慢するのだけは我慢ならんぞ。

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